本日は近江商人の十訓をはじめ、近江商人が商売人としていかに成功したか、近江商人の経営哲学から何を学べるかについて、千葉ラボで開催された「オープン比護ゼミ」に参加させていただき学んだことをおさらいします。
近江商人の商売十訓
- 商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
- 店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
- 売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
- 資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
- 無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ
- 良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
- 紙一枚でも景品はお客を喜ばせばる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
- 正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
- 今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
- 商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
近江商人の商売十訓についてはセミナーのまとめで取り上げられましたが、その中でいくつか学べること、議論になった部分について考えてみます。
1. 商売は世のため、人のための奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
講義後のディスカッションの中では「利益をとるのは悪い事じゃないんだよ」という意見が出ました。儒教の影響なのでしょうか、確かに日本人は「お金を儲ける行為」や「儲けてる人」に対して嫌悪感を抱いたり、素直に良いイメージをもてないですね。「成金」なんて言葉もそう。ここではそういう話がでました。
近江商人の十訓の第一に挙げられている「利益は当然の報酬なり」という言葉を私なりにもう少し深く考えてみると、
「世のため人にために奉仕する」 → 「利益を得る」
この順番が大切なのではないか? 私は、こういう風に考えました。
「利益が欲しい」「儲けたい」 → 「なにかをしよう」
こういう順番で考えると、近江商人のような長く続く商売を築きあげれないという意味なんじゃないでしょうかね。そう考えると、稲盛和夫さんの「利他の精神」に近い考えのような気がします。
5. 無理に売るな、客の好むものも売るな、客のためになるものを売れ
一見素通りしそうな部分ですが「客の好むものも売るな」というのは、
よく考えると、とてもよく共感させられる部分でした。
いくら儲かるとしても「ゲームアプリ」をどうしてもやる気にならないのは、
まさしくこの「客の好むものも売るな」であり、「客のためになるものを売れ」という部分が私自身にあるのかな、と感じます。
この考えはおそらくWeb制作会社での営業時代、私のメンターであった上司の影響だと思います。
「お客さんがやりたいと言っても、お客さんのためにならない機能はつけるな」
という考えで、いくら売上があがるからと言っても、プロとしての姿勢を貫けという教えが、私の中に根強く刷り込まれています。
伊藤忠商事や丸紅などの大手商社、トヨタ自動車などの大企業も近江商人の流れをくむと言われています。
書店ではアメリカの経営哲学やユダヤ商法などの書籍が人気で、海外発の考えを崇拝するような風潮がありますが、日本人は古来からドラッガーの「マネジメント」にも通じるような経営哲学を産みだしているんですね。
今回のセミナーでは、近江商人の十訓をはじめ、近江商人の商売人としての哲学を学びました。
もう少し近江商人について触れたかったのですが、今回はここまで。
今後の経営や人生のヒントに、ひとつでも参考にしたいと思います。